墓地
相続税法では、墓地は非課税財産になっています。
生命保険金
生命保険金は、500万円×法定相続人の数だけ非課税となります。家族が3人であれば1,500万円、5人であれば2,500万円の非課税財産となります。
退職手当金
退職手当金も500万円×法定相続人の数だけ非課税となります。これは死亡退職に伴い支給されるものを指します。
同族会社などでは、死亡前に節税のために退職金を支払うのも手ではありますが、退職金を支払った後に会長になっていただき、会長の死亡と共に死亡退
職金を支払うという対策も可能です。
小規模宅地の評価減を有効に使う
自宅は240㎡、事業用地は400㎡の範囲で土地の評価額が最大で80%引きになる制度です。
この規定を想定する限り、要件が明確になっていますので、要件に合致するように生前に対策を講じて
行きます。
遊休地を貸す
別荘を持っていれば、相続税評価額は100%評価です。ところがこの別荘を、同族会社に貸し付けている場合には、評価が変わります。土地の借地権割合が仮に70%であれば、70%×30%(借家権割合)の21%が評価減されるのです。
自宅兼貸家は利用区分を工夫する
自宅が広くて隣に貸家を立てて賃貸中という地主の方が居られます。この時、多くのケースで自宅と貸家の境界には壁などが存在しますが、この壁の位置を少しずらしただけで、相続税の評価額は大きく異なってきます。自宅は100%評価に対し、貸家は前述の通り、評価減の対象となります。副次的な効果
として高い家賃が入ってくる可能性もあります。
現金・預金を圧縮する
現金・預金で保有している財産は、一切評価の圧縮が図れません。そこで、この現金預金に関しては、評価額が時価より低い財産への組み換えを検討していきます。
一昔前では生命保険契約に関する権利(息子や孫に保険を掛けて、保険料を支払ってしまう方法、以前は原則として支払保険料の70%が評価額でした)が頻繁に登場していましたが、税制改正により使用できなくなりました。
これに代替する方法として終身年金等に加入することでメリットが出てきます。生命保険以外でも対策に有効なものがまだあります。不動産はその典型ですが、この場合、値下がりをしてしまわないように物件を良く見極めることが重要です。
有価証券を圧縮する
非上場株式では、決算の内容や事業方針を左右することが出来ますので、評価額を圧縮できる可能性が存在します。
非上場株式では純資産価額方式又は類似業種比準価額方式で株式の評価が行われますが、利益が出れば類似業種比準価額が上昇し、配当金を出さなければ純資産価額が上がっていくという相関関係になっています。
利益を圧縮し、配当金を出す。この仕組みによって評価額を引き下げることが可能となります。勿論、単純に行えば相続税でなく所得税が高くかかって、きますので、少し工夫が必要です。
相続人を増やすメリット
相続人が増加すれば、様々なところにメリットが出てきます。
非課税財産となっています生命保険金や退職手当金では500万円に法定相続人の数が非課税枠ですし、免税点である基礎控除額は、5,000万円+1,000万円×法定相続人の数となっています。
相続税額を計算する上でも(超過累進税率なので)相続人が多いと適用される税率が低くなります。
何ともメリットが多いのですが、かといって今更子作りは出来ません。実際は養子を利用するのですが、この方法、かつて大流行しました。現在はその名残からか人数に制限が設けられています。実子がいる場合には1人まで、実子が居ない場合には2人までが法定相続人に加算できる人数です。以前のように多くの人数(多いときは10人というケースもありました)は出来ませんが、やらないよりはやった方が良い対策の一つではあります。
相続税の節税の考え方は、大きく分けると2通りに分かれます。1つは「贈与」、もう1つは「財産評
価を下げる方法」です。
法律では110万円を超えて贈与をすると贈与税がかかります。しかし、贈与税は贈与方法を工夫する
ことで相続税より安く済ませることも可能です。
贈与税は1年間にどれだけ贈与をしたかによって税額が決まるので、低い金額の贈与を長年にわたって行えば安い税金で済んでしまうのです。つまり、
毎年コツコツと小額の贈与をすることによって税額を0円にすることも可能なのです。
一方、「財産評価を下げる方法」とは、更地にアパートを建てることで「貸家建付地」にしたり、小規模宅地等の特例を適用できるように工夫して評価額を安くする方法です。
相続対策で気をつけなければならない点は「相続争い」を防ぐことです。
大変多いのは、相続を機に仲の良かった兄弟姉妹間で相続争いが起きてしまい、それ以降、親戚付き合いもなくなってしまったというケースや相続人関係が複雑で話合いがしにくいケースです。
このようなことがないように、「もめない対策」をしておくのは非常に重要です。
まず、自分の財産を自分の死後、どのように分けたいのか、ということを「遺言書」にして残しておけば相続争いは避けることができますし、さらに、財産を分けやすくしておくことが大切です。
土地を1人で使いすぎない、あえて建物を建てない土地を残しておく等が考えられます。
相続税対策というと、節税に目がいきがちなのですが、忘れてはならないのが財源対策(納税資金の確保)です。
節税ばかりに目がいって、相続税額は下げることができたけれども相続税を納付する資金がないのでは意味がなくなってしまいます。
たとえば、相続財産が自宅のみの場合などは、納税資金の確保ができなければ自宅を売って納税しなければいけなくなってしまいます。
もちろん、多額の現預金を残せるのであれば対策は無用ですが、そうでないのであれば、たとえば物納用の土地を残す、会社からもらう死亡退職金を使う等の財源対
策が重要になります。
また、保険に加入して死亡時に保険金が受け取れるようにしておくなどの対策も考えておく必要があります。
さらに、生命保険金には非課税額があるので、うまく使えば納税資金の確保だけでなく税軽減にも効果的です。